ライバル兼用前半


セイジにとって、もえぎはただの幼なじみに過ぎなかった。
同じ年で家も隣。一緒に遊んだり、家族ぐるみで夕飯を食べたり、時々セイジがもえぎをからかってケンカになったり。
そんな関係に過ぎなかった。


セイジの、もえぎに対する気持ちが変わったのは旅立ちの時。
セイジともえぎは、オーキド博士からポケモンとポケモン図鑑をもらった。
目標は図鑑の完成とポケモンリーグでチャンピオンになること。
「図鑑は俺が完成させる。もえぎの出番はねーよ」
いつもの軽口。本心ではあるが他意はない一言。
図鑑を見ていたもえぎはバッと顔を上げ、勝ち気な笑顔で答えた。
「セイジには負けないよ」
いつもの笑顔。いつもの答えのはずなのに。

もえぎの笑顔に、セイジは心を奪われた。

身近すぎて気づかなかった、幼なじみの新しい一面。
自分の気持ちにとまどうセイジ。
しかし、幼なじみ故、セイジには良くわかる。もえぎは自分をライバルとしか見ていないことを。

「じいさんからもらったポケモン、早速戦わせてみようぜ」

だから彼も、ライバルでいることを選んだ。


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